第2回 メインライター:おくとぱす




ざくそんさんの後を受けまして、みなさま、こんにちは。
操心術シリーズのメインライター、おくとぱすです。

ようやくここまでたどり着きました。
操心術1から、長い旅でした。
あの時生み出したヒロインが、まさかここまでのつきあいになろうとは。
自分のキャリアの中で、キャラが勝手に動き出す、というのは時々ありましたが、その中でもこの春生ほど動きに動き回ったキャラはいません。

ということで、春生誕生秘話をここに公開させていただく次第でございます。


操心術1の製作にあたって、ヒロインの設定を考えます。
まずメインヒロインです。これは主人公とほぼ同年代、MCで落とすにふさわしい頭のいい、凜としたお姉さんキャラの「美桜乃」で決まりました。
ヒロインは三人ということだったので、あと二人。
まあここは年上と年下だなとまず基本方針を決定。
年上は、メインお姉さんの姉、人妻にして母親の「美也子」。
そして年下キャラとして、その娘であり妹的存在の「春生」を構想したのです。

この時点では、春生のことは、可愛い系、ロリ担当であるがゆえに無邪気、ぐらいしか決めていませんでした。
ですが、他の二人のヒロインがどちらも優秀で知的な女性と決まりまして――頭の弱いヒロインでは『落とす』楽しみが弱まるという理由です――
それなら、その二人と同じ家に暮らす春生だけが本当のお馬鹿ということはないだろうと考えまして。

……今にして思えば、その瞬間が運命の分岐点。ポイントオブノータリン。誤字ではなく。ネットで見かけて以来好きなんですこの表現。

門前の小僧というやつで、春生もお馬鹿ではあるけどそれなりに頭はいい子ということにしようとキャラ設定がまず決まり。
自分がそもそも、『スペック高いポンコツキャラ』が大好きというのもありまして、それが決まるとあとはサクサク。
1の主人公霧生悠斗、外道にして下劣、そのくせスケール小さいダメダメ男にやられ放題され放題……と、悲惨な目に遭いまくるはずだったのですが。
書いていて、なぜか出てくる妙な言動、ズレた発想。エッチの最中でも発せられる奇天烈な台詞の数々。
なんだこいつは、と思った時にはもう遅い。
綾河春生、というキャラはこちらの頭の中に、がっしり地盤を築いてしまっていたのでありました。

同時代別舞台の話である操心術2では出番がありませんでしたが、次の世代の話となる操心術3で、再び彼女を登場させることになりまして。
――ちなみに、元々操心術シリーズは時代を越える話だという裏設定は最初から作ってありまして、
なので操心術1の最後で『あなたの子孫に無限の幸福があらんことを』というメッセージが主人公に送られているのです。閑話休題。
次世代の話となる操心術3で、さて一世代を経た春生はどうなっているだろう、と考えました。

ここでポイントになったのは、操心術1の主人公。
あのスケールの小さい、一家庭を支配しただけで勝ち誇っていた霧生悠斗くんは、その後彼女たちをどうしたでしょう。
夜は楽しみ放題としても、昼があります。人は生活していかなければなりません。
妻と娘と義妹を奪われたのに喜んでしまっている可哀想な綾河家の大黒柱が頑張っても、年齢は無情に襲いかかります。
美桜乃には貴樹(操心術3の主人公)が産まれます。いつまでもお父さん一人に頼ってハーレム生活というのは厳しいものがあるでしょう。
もちろん悠斗自身が働くなんて選択肢を選ぶわけはない。
となると、女性たちにも外で稼いできてもらおうと考えるでしょうし――。
その時点で学生であった春生には、悠斗の安楽な生活のために、「いい学校に進んでいいところに就職して俺を養え」と操りを施すだろう……と想定しました。

こうして、そろった材料が魔女の大鍋に投入され始めました。
『いいところに進むために勉強する』に、『元々の頭はいい』。
『妙な性格』『エロい』『経験豊富』『MCにも造詣深い』。
これらが混ざり錬成された結果が………………『マッドサイエンティスト』!

そう、かくして、操心術3の重要キャラクター、彼女がいなければそもそも話が始まらなかった、あの綾河春生『おねえさん』が降臨したのです!


今回の外伝は、1の春生と3の春生をつなぐ、ミッシングリンクです。
それもあって、企画段階で、キャラ設定メモに彼女の項目だけはほとんど書く必要がありませんでした。
『いつもの春生』と、それだけ。
それで十分なほど、こちらの脳内に食いこんでしまっている存在です。いやほんと、なんと長いつきあいか。なんと強力なキャラクターか。

本作の春生は、3ほどの年期と外部的コネは持っていませんが、だからこその遠慮ない暴走をしまくります。
エロス方面も、容赦ありません。される時でもする時でも搾り取ります。すっからかんにします。干涸らびさせます。
詳しいことは次回に語らせていただきますが、彼女の関わるシーンでは、分量がすごいことになってしまっています。
動き回るにしても限度があるだろこの女。誰かこいつを止めてくれ。
しかし、その分楽しんでいただければ問題なし!
みなさま、どうぞご期待ください!

というわけで、ではまた次回に。
次は本作のエロ描写を中心に語らせていただく予定です。



……補足、春生に関するこぼれ話。

1 今回の主人公『ハジメ』に対して、春生だけ、本来心の声のはずの地の文にやたらと返事します。いやだって春生ですから。
2 ポイントオブノータリンは、思えば「ハルキ」という名前のからむネタを探している中で「ハルキゲニア」という生き物を知りその語源が
   「幻覚(ハルシネーション)」であることを知ったところだったような気もします。
3 ハルキといえば「歯を見せる笑顔」。これは絶対に外せないと、表情でも真っ先に決まりました。
   今回も実に魅力的なこの顔を存分に見せてくれています。お楽しみに!



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